現地農家圃場を利用した来年度の試験設計もあり、津別、大空町、北見、剣淵と複数の農家を訪問してまいりました。帰りの車の中ではため息の連続でした。今年は長雨のおかげで畑に入れない期間が多く、ごく一部の農家を除いて大きく生産性を落としていました。さらにせっかく物理性が大幅に向上した土だったのに、無理に仕方なく機械を入れたためにすっかりだめになってしまったと肩を落とす農家の方も。収穫しても手間を考えると儲けにならないと自らの判断ですきこんでしまわざるを得なかった農家の気持ちを考えるとつらいものがあります。さらには後継者がいないために手間がかかる有機農法はあきらめるという農家まで。
日本では官民上げて有機農業を良いものとして持ち上げていると思います。ならば、その農業体系がどのように作られているのか、経営状況はどうなのか、流通システムはあるのか、などなどの多くの問題点もきちんと考えていただきたいと。科学的な検証ができていない事柄で、よく有機農業を取り入れている農家さんからお聞きする話のひとつに、慣行栽培から転換して最初の3,4年、長いと10年くらいは収量低下にとても悩まされるということがあります。それがために5年目くらいにあきらめる農家が多いそうです。実際に北海道でも有機農業がさけばれているにもかかわらず農家数は逆に減少傾向にあるということです。
政策的にもこんな農家に無理ばかりかける農業を何とかサポートできないのでしょうか。農学的には研究者がしっかりしないといけないのはもちろんですが。
そう思って、科学的な検証を行いたいと提案した課題が不採択であったという通知が届いたこともあり、さらに腹立たしい思いで不機嫌です。もちろん、自分の力不足が原因なのは重々承知なのですが。