イオノームというのは植物が吸収した元素を一斉分析する事によって多数の元素の挙動を同じサンプルを用いて詳細に解析しようとする試みです。これまでにアラビドプシス、酵母などで研究が行われてきましたが、自分たち(北大との共同研究)はミヤコグサというマメ科のモデル植物に着目しました。マメ科というのはCa, Mgの吸収量がイネ科と比較して多いだのと特徴的な傾向もあり、興味があります。
変異剤処理をした種子を2000系統ほど使って元素の吸収がおかしくなっている個体のスクリーニングを続けました。地道な作業なのですが、一斉分析によって10以上の元素を同時にスクリーニングできるので、実質的には2000x15程度のスクリーニングとなります。その結果モリブデンの吸収に変化が認められる個体が獲得されました。ちょうどモリブデントランスポーターの研究をやられている研究者がおられたので、そちらの研究に合わせて解析をしていただくことになりました。うまく当たっていました。それもいくつかあるモリブデントランスポーターのうちの一つで、こちらとしては興味深いところに。
実際に特定の元素のトランスポーターに関わる変異体が取れたという事からも、このイオノーム手法が有効に活用可能なことが示されました。うれしいですね。
このイオノームに関する研究は解析方法の論文が来年1月のSoil Science and Plant Nutritionに、変異体を用いた解析手法の論文が現在投稿中(revised versionをちょうど昨日送付した所)です。上記のモリブデントランスポーターの話は来年三月の植物生理学会での発表していただけるそうです。